このところ戦略論に関する本を色々と読み漁っているのですが、詰まるところ戦略というのは”如何にして差別化をするのか”とうことであり、”ブルーオーシャン戦略”にしろ”イノベーション”にしろ、結局は差別化要因をどうやって探すかという事について語っているのかな、というある一定の納得が得られてしまっていたのですが、この清水勝彦さんの著書「なぜ新しい戦略はいつも行き詰まるのか?」はなかなかにして新鮮でした。
著者がこの本の中で推し進めている戦略は、その名も”やってみなければわからない戦略”です。著者自身も語っていますが、なんともあか抜けない戦略名ですが、かえってストレートに本書の内容を語ってくれています。「正しい試行錯誤のすすめ」というのがこの戦略です。
本書の中で著者は、そもそも戦略があるのは当り前の世界になり、「戦略のコモディティ化」が進み、「正しい戦略という幻想」があるために現場と上層との乖離が進んでしまって、実施されない戦略が生まれてしまっているとうい問題提起をしています。ユニークなのは、そもそも将来の事など誰も分からないという点に立脚している点です。
つまり、戦略主義も現場主義も、「正しい戦略がある」ことを前提とする限り、それを追いかけて「これまでやってきたことをもっと一生懸命やる」以外はないのです。
しかし、予想がつかない未来に対して、どれだけ一生懸命「現場に出ても」「情報を集め」て「分析」したとしても、「正しい戦略」を見つけることは不可能に近いことです。
正しい戦略などないのだから、視点を自社に向けてアイディアのポートフォリオを作ってアイディアを実験してみて、当たったアイディアを育てていこうといういうのが、この”やってみなければ分からない戦略”の本質のようです。これを実施するための環境構築について三つの土壌が必要だと説明しています。
- 新しいアイディアを産む土壌作り
- 実験をする土壌作り
- 実行すう土壌作り
もし自分が会社をおこすようなことがあれば、ぜひ参考にしたい戦略論です。
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